| おまかせ!ジュエリークリニック | |
物語消費型商品としてのジュエリー |
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| 一枚の葉をモティーフにしたペンダントがある。表面が荒らしてあり、上に三個のダイヤが転がって、少しめくれた感じの曲線が美しい。それだけのものだが、このペンダントについて「これはその製作者によりますと、新緑の季節の若葉に、朝露が光っている様を描いたものだそうで、生命の歓びを表現しています。葉っぱにも枯葉や落ち葉などいろいろありますが、これは生まれたばかりの若葉で、表面の荒らしも、ですから肌目細かになっています。 これは梨地仕上げといって、ザクロ石の細かい粒を水と混ぜ、上から金属にぶつけて傷をつけているんです。使っていますと、少しずつ表情が変わってきますが、それがまた味わい深いものです」と説明されたらどうだろう。何でもない葉っぱのペンダントだったものが、この説明を聞いて、ことさら輝いて見えてくるに違いない。 ジュエリーは素材、デザイン、加工各々について、尽きせぬ物語を繰り広げることが出来るという特質を持っている。いや、この物語性によってこそ、ジュエリーはジュエリーたりうると言ってよい。宝石そのもの、形、作り方各々について、無限と言って良い物語が引き出せる、それこそがジュエリーの由来であり、最終的な魅力なのである。 見る者は、そのさまざまな物語を知ることで、そのジュエリーの美しさをより強く納得することが出来る。なぜこの石が使われているのか、デザインにはどういう意味が隠されているのか、加工の特徴は何なのかといったことが、そのジュエリーの魅力を倍音化し、その本質を語るのである。 したがって、販売の現場では、そういう物語こそが伝えられなければならない。そうでなければ、そのジュエリーの魅力の本質は、いつまでも封印されてしまうことになる。当然、販売する者には、そのジュエリーを形作る物語を話せる知識と経験が問われてくることになり、それがなければそのジュエリーを販売する力も半減してしまうのである。 「モノ消費からコト消費へ」と言われる。モノという物理的な価値、機能を売ることの限界が指摘され、モノが生み出す物語的価値=コトを売ることの重要性が喚起されている。この消費不況のなかでもワインが売れ、高価なスーパーブランド商品が売れるのは、単なる物理的価値を超えたコトとしての価値が評価され、買われているからである。 消費不況の現在、コトとしての価値を持つ商品が強く求められているが、本当はジュエリーこそがまさにそういう商品の代表格なのである。 |