おまかせ!ジュエリークリニック



カスタム・ジュエラーになるための条件
 カスタム・ジュエラーには誰もがなれるわけではない。次のような能力と体制が、カスタム・ジュエラーになるための必須要件である。
一、顧客の要望を正確に把握し、発注(時には自分で製作)し、管理する能力(素材、デザイン、加工、価格の知識と経験)
二、能力があり、自分と意思疎通が出来るデザイナーや加工職人とのネットワーク、競争力がある素材入手ルートの確保など、製作体制の確立

 一については、残念ながら日本に現在ある宝飾店の七割の(すなわちかなりの)オーナーにはこの能力がない。それはこれまでは自らが商品開発をしなくても、問屋が新しい商品を絶えず持ってきてくれて、自分はそれを売っていればよかったから、特別にそういう知識と経験が必要なかったからである。良く言えば、問屋との間で「役割分担」が出来ていた。

 しかし、問屋の商品だけを売ることの限界、例えば
(一)問屋は量産をベースとするため売れ筋を狙う商品が多く、価格競争に巻き込まれやすい、
(二)店のオリジナリティが出せないため顧客を固定化しにくい、
といった問題がバブル崩壊後急速にクローズ・アップされ、これを解決するために、他の店にない商品を何らかの方法で確保することが必要になったのである。その一つとして自ら作ることがテーマとなり、そのためには、素材、デザイン、加工に関する知識と経験が不可欠になっているのである。とくに加工に関する知識と経験は、必ず押さえておかなければならない。

 二番目については、実際に作ってみるとすぐぶつかる問題だが、デザイナーや職人との意思疎通をはかることがいかに難しく、かつ、これはという素材を見つけることもいかに大変かということである。とくに職人との間ではトラブルが起こることが多く、気に入った職人を見つけるまでには相当の時間がかかることを覚悟すべきである。発注の仕方に問題がある場合、職人の能力に問題がある場合などさまざまだが、製造体制は容易に完成しない。

 ところで、カスタム・ジュエラーは、必ずしもジュエリーを作らなければいけないわけではない。顧客が欲しいというジュエリーを既製品から探し出し、提供できるのであれば、それもカスタム・ジュエラーとしての立派な役割を果たしている。ただしそのためにはたえずメーカー、卸との情報交換が必要であり、そういうネットワークが構築されていることが前提となる。カスタム・ジュエラーになるための三番目の条件はこれである。これらを一言で言えば、「プロ」であるかどうかということになる。