おまかせ!ジュエリークリニック



カスタム・ジュエラーは接客を重視する
 顧客とのリレーション・シップを基本に、顧客のさまざまな要望を聞くことからビジネスをスタートさせるカスタム・ジュエラーは、従来の物販業という範疇から外れて、むしろ接客業という業種に近付いていく。顧客はカスタム・ジュエラーの店に足を踏み入れた瞬間から、感動のある心地よい時間と空間の提供を受ける。日常の時間や空間とは切り離された、それは特別のもてなしである。コトを消費するとは、こういうことである。

 そうであれば、店舗空間の設計も違ってこなければならない。従来はあくまで物販であったから、店舗のほとんどのスペースにいわゆるGケースを並べ、モノ中心の構成をとってきた。しかし接客業ということになれば、まず確保しなければいけないのは接客スペースである。そこには椅子とテーブルが必ずなければならないし、それもどの家にもおいてあるような普通の椅子とテーブルではなく、ちょっと座ってみたかったと憧れを抱かせるようなものが必要かもしれない。座ってもらえればお茶を出すことになるが、できればそれもちょっとこだわりのあるお茶や器を用意しておきたい…等、お店の作り方が根本的に変わってくるのである。

 顧客は、カスタム・ジュエラーからそういう接客をうけながら、その中でジュエリーの一点一点について説明が織り込まれることで、ジュエリーの、単なるモノとしての価値を超えた特別の世界を実感できることになる。いわゆる「サロン風」というのはここから生まれてくるが、日本にもすでにいくつかそういう宝飾店が誕生している。

 ただ、誤解してはいけないのは、接客だからといって、お茶を飲んで、世間話をして…ということが重要なのではない。重要なことは、モノを核にして、そのモノの魅力を接客のなかでどう伝えられるかにある。カスタム・ジュエラーは顧客中心の考え方に徹するという意味で接客が重要なのであって、あくまで基本はジュエリーの素材、デザイン、加工の付加価値の説得力にある。それらの知識と経験をベースとして、どれだけ心地よく納得してもらえるかということで、接客技術も必要になるのである。

 こういうことを自覚して、日本にはすでにコーヒー豆を厳選して味わってもらっている宝飾店や、一脚二万円するコーヒー・カップでもてなす宝飾店、座ると販売員がメニューを持ってきて、「何にされますか?」と聞いてくる宝飾店など、さまざまなサービスを実施している店が誕生している。メニューを出す宝飾店ではビールのサービスまであり、至れり尽せりである。