| おまかせ!ジュエリークリニック | |
宝飾店は立地産業ではない |
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| 小売業は立地産業である、と言われる。いくら素晴らしい商品を売っていても、人も来ないような場所に店を置いては売上は出来ないというわけである。まさにそのとおりであり、まずは人通りの多いところへ出店することが、小売店の最重要戦略となる。 かなり前の話だが、ショッピング・センターに出店している一軒の宝飾店でこんなことを聞いたことがある。一ヶ月の売上がなかなか目標を超えられず、商品を変え、店長を変えといろいろ試みた。しかしあまり効果なく、ところがあるときエスカレーターの前の店舗が退店することになり、そこへ移ることが出来た。そうしたら翌月から目標額を達成出来たというのである。そこの責任者は「小売業は立地産業であるという真理を再認識した」と話していた。そういうことはある。したがって立地をおろそかにしてはいけない。 しかし、カスタム・ジュエラーにとっては、立地はそれほど重要な条件とならない。それはカスタム・ジュエラーというものが、顧客の内的要求を中心に考える業態だからである。 顧客の内的要求を考えれば、顧客にとってはその店の空間と、過ごす時間が重要なのである。店主から聞くジュエリーの話が貴重なのである。したがって、自分が訪ねている一時間なら一時間という間、顧客は店主を占有しようとする。 ところが、その店が好立地にあるため、次々と顧客が訪ねてきたらどうだろう。会話は中断し、店主はすぐに席を立ち…、という風に、少しもリラックスできないのである。顧客はかえってストレスがたまり、この店は楽しくないと感じてしまうに違いない。 もちろん、スケジュールを管理して、交通整理をすることで、顧客にストレスを感じさせない配慮はある程度出来る。しかし、好立地であれば、不意の来店は防ぎようがない。 カスタム・ジュエラーには、したがって立地はあまり重要な条件ではない。いや、むしろ悪い立地の方が好ましい。たとえ人里離れた場所でも、そのカスタム・ジュエラーに力があれば、来店客は絶えないだろう。車での来店が増えている最近では、駐車場の確保が難しい中心街ではなく、郊外の方が顧客にとってもありがたいかもしれない。次から次と顧客が絶えないというところまではいかないかもしれないが、リピート客数は確実に増えていくだろう。 ジュエリーは典型的な買回り品である。最寄品であれば立地に大きく影響されるが、ジュエリー、とくにカスタム・ジュエリーは立地に影響されないのだ。 |