おまかせ!ジュエリークリニック



商品回転率と値入れの相関関係(1)
 宝飾店の一般的な値入れは「折返し」である。三万円で仕入れば上代は六万円、原価五万円なら上代十万円となる。この折返しという値入れは他の物販に比べて高いが、値入れ率は商品回転率と関係しており、宝飾品の回転率が悪い分、粗利率を高く設定しないと利益が出ないからである。
 
 問題は、他の物販に比較して悪かった商品回転率が、バブル崩壊後はさらに悪くなっていることである。商品回転率は{売上÷平均在庫}で求めるが、売上はバブル最終年の九0年に比較して現在、平均で七掛で推移しており、平均在庫が変わらないとすれば、商品回転率も七掛に落ちていることになる。
 
 ここで一つの例を取り上げる。
 九0年の売上=八千万円、在庫下代三千万円
 九八年の売上=五千六百万円、在庫下代三千万円(在庫はここでは下代評価で統一する)
 九0年の商品回転率=二.六七
 九八年の商品回転率=一.八七
 
 この例は日本の宝飾店の平均像にかなり近いと思われるが、問題は九八年の商品回転率が二回転を下回っているという点にある。これはたいへんな問題で、二回転を下回っているということは、折返しでは翌期に商品投資分が回収できていないということである。
 
 単純化してみよう。
 下代五万円、上代十万円の商品が平均在庫十点あり、年間売上が百万円だったとする。この場合、平均在庫金額は下代で五十万円であり、商品回転率は二回転である。粗利額は五十万円となり、つまりは商品に投資した五十万円が回収されたことになる。すなわち、ここが損益分岐点であり、折返しの値入れの場合には商品回転率二回転が回収の損益分岐点ということなのである。
 
 ここでわかっていただけただろうか。つまり、商品回転率が二回転を割ったということは、折返しの値入れでは赤字ということであり、おそらくかなりの宝飾店が現在赤字だということを意味している。
 
 値入れは商品回転率との相関で決められるべきものである。折返しという値入れがこれまで業界慣習として使われてきたのは、商品回転率が二回転以上を達成できてきたからである。しかし現在はそれを達成できない店が多くあり、今後も難しいとしたら値入れ率は変更しなければならない。
 
 しかし、では上代を簡単に上げられるかといえば、それは至難の業であろう。テレビ・ショッピングやディスカウンターが跋扈する時代、値上げは顧客からソッポを向かれる危険性を孕む。
 
 ではどういう方法で商品回転率を上げ、利益率を上げられるかが問われることになる。